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名古屋国際会議場のサステナブルな取り組み

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名古屋蒲鉾 大矢 晃敬さん

次世代へ伝える地元の魅力 老舗蒲鉾屋6代目 大矢蒲鉾商店 大矢 晃敬さん
次世代へ伝える地元の魅力 老舗蒲鉾屋6代目 大矢蒲鉾商店 大矢 晃敬さん

今回の“キラリびと”は、1860年創業の老舗「大矢蒲鉾商店」6代目・大矢晃敬さんです。
歴史ある街・熱田で育ち、“質”にこだわったかまぼこ作りを継承する大矢さん。
かまぼこの次世代への継承や地元・熱田への熱い想いに迫りました。

幼いころに憧れた「祖父の背中」

大矢さんは幼少期からお爺様やお父様の作業姿を間近で見て育ってこられたと思います。実際に家業を継ぎたいと思ったのはいつ頃からですか?

継ぎたいと決めたのは中二の頃です。幼い頃から休日や放課後はお店の手伝いが当たり前でしたが、手伝いの折、手包丁で「しんじょ」(長芋を練りこんだかまぼこ)を作る祖父(4代目・常一さん)の姿に憧れていました。しんじょは祖父だけが作れる特別なかまぼこ。「かっちょいい!」「俺も作りたい」と、子ども心に感じた事がきっかけです。

将来は蒲鉾屋を継ぐことを決めていた私は地元の水産高校を卒業後、北海道の大学で食肉を学ぶことにしました。食肉加工の技術が蒲鉾作りに応用できないかと考えたためです。ただし、大学時代に所属していたテニス部で全国大会に出場するレベルまで上達し、学生時代には別の道も考えた時期もあります。でも、熱田の街が好きなので!この街に戻り、この道で生きることを決めました。

子どもたちにかまぼこや魚を好きになってほしい

大矢さんの作る“かまぼこ”へのこだわりを伺いたいです。

当店では(起源は諸説ありますが)派手好きな織田信長が“朱色”を愛したことに由来する名古屋の「朱色かまぼこ」をはじめとした各種商品を店頭に置いています。

美味しさの定義は人それぞれですが、私は“魚そのものの味”と“歯を弾くような弾力”に重点を置き、昔ながらの製法でかまぼこの味を守り続けています。取引業者の方から「こんなに良いすり身を使っている店は今ではほぼ見かけない」と言われるほど高い等級の魚のすり身を使い、少量生産ながら本物志向の商品を食卓へお届けできるよう毎朝2時半から仕込みを行っています。

私の品質へのこだわりの根底には、子どもたちにかまぼこや魚を好きになってもらいたいという想いがあります。当店の人気メニューに「揚げかまぼこ」がありますが、子ども向けにチーズ味を作りました。形はあえてハートにし、一回り小さいサイズの3個セットに。学校帰りの小学生がおやつ感覚で食べて魚やかまぼこを好きになってくれれば嬉しいです。

大矢さんの子どもたちに魚を好きになるきっかけを作りたいという想いから、大矢さんは店頭だけでなく地域へ活動の輪を広げているそうですね。

はい、かまぼこや魚のことを知ってもらうために小学校に講話へ行ったり、作業場見学に来てもらい実際にかまぼこ作り体験をしてもらったりすることもあります。

以前子どもたちに教えるのに先立って先生方が作業場に見学へ来られた時、かまぼこの原料が魚だという事をご存じない方もいらっしゃいました。子どもたちを育てる私たち親世代にも「知らないことを正しく知ってもらう」ということが大切だと感じましたし、まずはそのための機会を増やしたいという気持ちが活動の原動力になっています。

夢は熱田の街と一緒に大きく

大矢さんは地域活性化の活動をされていると伺っています。地域活動に参加されるようになったきっかけなどありますか?

大矢蒲鉾商店が6代にわたり根付いてきた熱田は、熱田神宮や織田信長をはじめとした歴史の宝庫です。かまぼこ屋を通して熱田という町の良さをもっとたくさんの人に知ってもらい、賑わいのある熱田を次世代に届けたいと思いが強くなりました。そこで同じ思いを抱く老舗企業の若頭たちが集まり、2015年に「あつた宮宿会」という団体の立ち上げに参画しました。

あつた宮宿会はどのような団体なのでしょうか?

あつた宮宿会は地元企業やNPO団体を中心に構成され、一言で言えば熱田を盛り上げ、魅力を伝えるため活動しています。

代表的な活動が熱田神宮または秋葉山圓通寺などで開催しているあつた朔日市です。かつての熱田神宮を中心とした熱田の賑わいを取り戻すべく、地元熱田の企業を中心に毎月出店しています。朔日市では、あつた蓬莱軒・妙香園・亀屋芳広・きよめ餅総本家のコラボレーション商品「あつた宮餅」を販売し注目を集めています。

これまでは顔見知り程度だった老舗企業同士が、宮宿会の活動を通して力を合わせ、切磋琢磨して熱田を盛り上げようという動きが、以前に比べ少しずつ活発になりました。

私はあつた宮宿会で熱田の歴史や魅力を広める委員会も担当し、信長公や日本武尊など熱田に関連した物語を紙芝居にして小学校や朔日市で実演しています。以前、名古屋国際会議場主催の健康セミナーの前座で紙芝居を行った時は、地元に長く住まわれている方からも好評だったようです。こういった「知られざる熱田」を知ってもらうための地道な活動も、次世代へ賑わいある熱田を残すために必要なことだと考えています。

老舗企業が多く、産業的にも歴史的にも古くからの土台がある熱田区ですが、あつた宮宿会の活動は地元の人同士を繋げ、より愛着を持ってもらうための取り組みなのですね。

昨年はあつた祭りが新型コロナウイルス感染症により中止になり、花火大会も実施されませんでした。幼少から熱田に住む自分にとって、年に1回のあつた祭りと花火の日は今でも忘れられない楽しい思い出。それが1年途切れてしまう…。小学校を回ったときに、子どもたちがとても残念がっていたという話を聞いて心が痛みました。

そこであつた宮宿会のメンバーと協力し、2020年8月11日にあつた夢花火を打ち上げました。当日は花火の打ち上げ後、熱中症で倒れるなど大変でしたが(笑)、少しでも今の子供たちの心に‘夏の思い出’として残ってくれたら嬉しいですね。

大矢さんの今後の夢を聞かせてください。

かまぼこに親しみを感じて頂くために、将来的に店舗を改装した際は、来てくださったお客様にかまぼこを作っている様子を間近で見て頂けるようにしたいです。新型コロナウイルス感染症の流行が落ち着いたら、より多くのお客様の手に取って頂けるよう、活動範囲を広げて展開していきたいと思っています。

また、今後もお店にとどまらず、熱田と一緒に成長していきたいです。昔の下町には人のつながりがありました。子どもの頃、近所のおじさんに悪いことをしたら怒られたり。何かをするときは「頑張って来いよ」って背中を叩かれたり。そういう自分が感じてきた熱田の日常が、良さが、次世代にも伝わっていけばいいなと思っています。

宮宿会の活動を通して、互いに顔見知り程度だった地元の人に繋がりが生まれています。その輪が地域の賑わい創出に繋がり、そして、また輪が広がる。そんな相乗効果が生まれていると感じます。この仕事とこの熱田の街が本当に好きなので、これからも街と一緒に、もっと大きくなっていきたいです。

大矢蒲鉾さんとあつた宮宿会の詳細は以下のホームページにてご確認ください。

合資会社大矢蒲鉾商店 ホームページ

合資会社大矢蒲鉾商店

TEL 052-671-4664 / FAX 052-671-4655
営業時間 11:00〜18:00(現在は新型コロナ感染症の為17:00迄)
定休日 土日祝

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