今回は、東海3県を舞台とした東海エリア発アニメ「シキザクラ」の
ヒロイン・明神 逢花役を担当する声優 茉白実歩(ましろ みほ)さんをご紹介します。
多くの作品が東京で制作されるアニメ業界において
名古屋の声優事務所に所属し活動の幅を広げる彼女に注目しました。
初アニメのヒロイン役での重圧
「シキザクラ」はどのようなアニメなのでしょうか?
シキザクラは10月から放送される、豊田市小原町の四季桜をモチーフにした東海エリア発のヒロイックアクションSFアニメです。CGアニメーションで描かれるダイナミックなバトルシーンが見どころですが、普段の何気ない日常の描写も面白いので、ぜひ注目してご覧いただければと思います。
ヒロインの明神 逢花役を演じた感想を教えてください。
役を初めて演じたのはオーディションの時でした。
逢花ちゃんは普段は“ほわっと”しているのですが、いざバトルシーンに突入すると凛と戦う女の子です。オン・オフがはっきりしている点が自分と似ているかなと思っていて、とても演じやすいと感じました。
ただ、配役が決まったときは、驚きや嬉しさよりも不安の方が大きかったです。初めてアニメに出演する私に、物語の鍵を握る重要な役が務まるのかなと悩んだこともあります。でも、共演する仲間やスタッフの皆さんがいたので「私一人で抱えこまず、みんなで良いものを作れば良いんだ」と前向きになれたのが大きかったと思います。
コロナ禍での収録、難しいことも多かったのではないですか?
そうですね。通常は1クール12話を3か月程度の期間で収録しますが、この作品は約2年間かけての製作となりました。新型コロナによりスタッフが集まれず、1話目の収録後、約7ケ月を経て2話目を収録していました。
台本読みや練習も全員が集まることができず、出演者はZOOMを使って練習をしていました。アフレコも通常は同じブースで複数人が入れ替わり、同じマイクで収録するのですが、1~3人の少人数で行っていました。
“私は声優の世界で生きる” 憧れが決意に変わった日
声優を目指すようになったきっかけを教えて下さい。
私が小学5年生か6年生の頃「FAIRY TAIL」という漫画がテレビアニメ化されたのですが、このアニメを見たときに初めて声優という仕事があるという事を知りました。その日から漠然とアニメに関わる仕事がしたいと思うようになりました。
この頃から、自分が漫画の登場人物になったつもりで、そのキャラクターのセリフを声に出して読むようになり、それがとても楽しかったので、「声優になりたい!」という気持ちが日に日に強くなっていきました。
夢が具体的になったのは、高校卒業後の進路を考えていたときに声優育成コースのある専門学校へ通うことを決意した頃です。
声優の道を目指すと決意されたとき、ご両親は反対されませんでしたか?
「もう少しよく考えた方が良いよ」と言われました。両親の反対もあり、自分なりに色々と悩みましたが、「何も挑戦せずに終わるのは嫌だ!」と思い、最終的には自分の夢を押し通した感じです。でも、今では両親も出演が決まった番組などを知り合いに話すなど、本当に応援してくれています。
実際に声優を目指す中でぶつかった壁などあれば教えてください。
専門学校時代に、東京の音響監督を招きゲームのキャラクターの短いセリフを演じる授業がありましたが、何度やっても正解を見つけられない自分に、声優には向いていないのかな、と悩んだことがあります。ひたすら自分がなりたいものを見つめ直した日々の中で、改めてこの世界で生きる覚悟を決めました。「やるしかない!」と自分を奮い立たせて。
アニメ製作の中心は東京と聞きますが、あえて名古屋の声優事務所を選択した理由を教えてください。
専門学校2年生の頃、いくつかの東京の声優事務所のオーディションを受けていましたが、中々良い結果が出ませんでした。金銭面での不安も募っていた時期に、新しく公開予定の東海エリア発アニメーションの声優オーディションが開催されることを知りました。
「ここで芽が出るかもしれない。まずは受けてみて、結果が出てから次のことを考えてみよう」と考えオーディションを受けることにしました。それが現在の所属事務所です。
実は、合格後、この事務所に所属するか少し悩みました。「地元の縁もあるし、せっかく受かったからここから頑張ってみよう」という気持ちが強く、学校に通う傍ら事務所に所属し、レッスンを受けることにしました。
いろんな経験が演技の源泉になる
さらなるステップに向け、声優以外の仕事も精力的に活動されていると伺いました。
声優業の他、今は豊田市小原の観光大使の仕事やラジオ番組への出演なども経験させて頂いています。私は昔からシャイで新しい環境に慣れるのに時間がかかる性格ですが、観光大使やラジオの仕事などの現場で多くの人と話す機会を得る中で、少しずつ自分が変わってきていると感じます。
事務所の代表や専門学校時代の先生から「自分の人生で経験した事がそのまま演技にも表れる」という話をよく聞いていましたが、まさにその通りだと感じます。
他の方と比べてもまだまだ経験が浅いので、与えて頂けるチャンスに感謝しつつ、新しいことに挑戦する一歩が演技に繋がると信じて仕事に取り組んでいます。
憧れや今後の目標などはありますか?
声優の早見沙織さんに憧れています。早見さんのように、幅広くどのような役を頂いてもフィットし、周りからも「これだ!」と思われる演技が出来る声優を目指しています。
東京で製作されるアニメにも出演したいですが、私は歌う事も好きなので、いつかアニメの主題歌を歌いたいです。一度しかない人生なので、やれる限り挑戦し続けていきたいと考えています。
いつか茉白さんが当館のセンチュリーホールのステージに立つ日を、私たちも心から楽しみにしています!