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名古屋国際会議場のサステナブルな取り組み

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白鳥庭園 川島 大次さん

次世代へ伝える地元の魅力 老舗蒲鉾屋6代目 大矢蒲鉾商店 大矢 晃敬さん
次世代へ伝える地元の魅力 老舗蒲鉾屋6代目 大矢蒲鉾商店 大矢 晃敬さん

今回は、名古屋国際会議場と姉妹施設にあたる白鳥庭園の所長であり、
樹木医の川島大次(かわしま だいじ)さんをご紹介します。
樹木医になるきっかけや自然に対する思い、白鳥庭園の今後についてお伺いしました。

樹木医として樹々を「観る」仕事

まずは白鳥庭園と川島さんの現在のお仕事について教えてください。 

私が働く白鳥庭園は中部地方をモチーフにした東海三県では最大級の池泉回遊式日本庭園です。御嶽山の渓流から伊勢湾へと木曽三川を通じて流れていく「水の物語」をテーマとしています。庭園内には中部地方に息づく樹々や植物が植えられ、巨大な揖斐石を利用した滝の景や全国でも珍しい三つの音色を奏でる水琴窟、など見どころも満載です。 また、正門から入って正面にある※「覗き」を通して借景的に国際会議場が見える点も隠れた魅力の一つです。

その他、11月下旬~12月中旬(2021年11月20日(土)~12月12日(日)予定)に開催している観楓会(紅葉のライトアップ)など、来場者の方に楽しんでいただけるイベントを毎年定期的に実施しています。

白鳥庭園での私の仕事は、主にそれらイベントの企画、営業活動、飲食店の経営、施設管理の全般に加え樹木医として弱っている木々の診察や経過観察などをしています。

※「覗き」とは庭園技法の一つ。視野を敢えて絞ることで、奥行きを作り、庭園内の景観イメージをより膨らませる技法。

川島さんは樹木医ですが、そもそも樹木医とはどのような職業なのですか? 

樹木医は職業というよりも資格の一つです。そのため、樹木医の資格を持つ者の職業は多岐にわたり、私のような造園業の他に、コンサルタント、研究職、農薬メーカーに努める人など多様です。

また、移植を得意とする人、長期的な管理をメインとする人など専門分野も異なります。樹木医になるためには樹木の診断、治療等に関する業務経験が7年以上など条件を満たした上で試験に合格する必要があります。

私は現在所属している岩間造園に就職し、経験を積んだうえで樹木医の資格を取得しました。

川島さんが造園業・樹木医を目指したきっかけは何ですか?

きっかけは1冊の本ですね。樹医の山野忠彦氏が法隆寺をはじめとする樹木の治療の記録について書いた「木の声がきこえる-樹医の診療日記」。大学生の頃、この本を読んだときに、木々や自然に関わる仕事に関心を抱きました。

就職活動をしていた大学生当時、私はゼミで専攻していた橋の整備会社に就職するつもりでした。しかし、当時の建設業界は環境配慮への関心はあまり高くなく、関西国際空港など大規模な工事の折に多くの自然が破壊されている現実がありました。

もともと環境問題に関心の高かった私は、その現実を前に「本当にこの仕事でいいのか?」と疑問を抱きました。そのような折に出会ったのが「木の声がきこえる-樹医の診療日記」です。

それから植物や自然を管理する仕事を探し始め、幸いにも親戚が造園業をしていましたので、叔父に頼んで造園会社で手伝いを始め、今風にカッコよく言うとインターンですね(笑)。叔父の会社で働き始めて木を植え管理する仕事が楽しくて「この業界で働こう」と決心しました。その後、就職活動を経て現在の岩間造園株式会社に入社しました。

川島さんはずっと庭園管理をされてきたのですね。

いえいえ。入社後しばらくの間は公園の整備をしたり、高速道路のパーキングエリアやジャンクションの植栽整備工事を行っていました。例えば、刈谷パーキングエリアにある大きな木。あれら樹々は私が移植したものです(笑)。

また、白鳥庭園内に今かかっている橋も私が整備工事に携わりました。当時は白鳥庭園とは直接関わりのない外部業者として、発注いただいた業務でしたが、大学での勉強が白鳥庭園で活かされ、その後、自分がそこの管理運営をするとは(笑)。今思えば、何か運命的なものを感じます。

造園工事から庭園の管理へ、何かきっかけがあったのでしょうか?

大きな公共事業に関われたことはとても良い経験でしたが、植樹をしてお客様に引き渡す。「作ること」に重きを置いた業務をしていく中で、腰を据えて樹木医として治療した木の経過を「看る」仕事をしてみたいと考えるようになっていきました。「作る」仕事は一過性のものが大半です。樹木を診断し治療方法を提案しても先方の予算上、実施できないこともあります。

もう少ししっかりと木と向き合う仕事がしたいと私は考えるようになりました。その頃、岩間造園が白鳥庭園を指定管理者になるとの話を聞き、「これだ!」と思いました。白鳥庭園を自ら志願し、この庭園の管理に従事することになったのです。

庭園を絶滅しそうな植物や生物の“逃げ場所“に

庭園を管理する上で工夫されていることがあれば教えてください。

正門から清羽亭までの生け垣の手入れは職人が一か所、一か所、大ばさみで剪定しています。以前は効率性を重視してエンジン式刈込機械(トリマー)で行っていましたが、生け垣のモチーフとなった銀閣寺(慈照寺)を庭師と訪れた際、脚立に上り職人が手作業で剪定している様子を見て、「折角なら本物と同じ技法で」と考え、以後、ハサミで剪定することにしました。

大ばさみでの作業は時間・労力ともにかかるためコストは増えましたが(笑)。でも、トリマーにはない風合いがあります。ぜひ、白鳥庭園にお越しの際は注目して見てほしいポイントの一つです。

コロナ禍で来場者減少など難しい面もあると思いますがいかがでしょうか

確かに、イベントの自粛など影響はあります。ただし、私はコロナの流行も良いきっかけではないかと考えるようにしています。私個人として、コロナ禍で、以前よりも庭園に出て樹々を見つめる機会が増えました。また、今後、絶滅しそうな貴重な植物を庭園内で育て、守る活動にも注力しています。

動物だけでなく植物も多くが絶滅を危惧されています。「あの草、減ってきたけど、どこかで見れる場所は無いか?」と言われる時代に「白鳥庭園にありますよ」と言えるような場所に。私にできることは本当に少しかもしれませんが、絶滅しそうな植物や生物の「逃げ場所」の一つとして白鳥庭園が存在しても良いのではないか。そして、逃げてきた植物や生物が生活する姿を見た人々が、昔の懐かしさを感じられるような日本庭園に。新たな形の白鳥庭園にしていきたいと考えています。

今後の目標をお聞かせください。

地元・名古屋や県内外のより多くの方々に白鳥庭園の素晴らしさを知ってもらいたいです。また、日本庭園は作庭50年で名勝指定という文化財に登録できるようになります。白鳥庭園は今年で作庭後30年のため、あと20年。岩間造園で白鳥庭園を名勝指定させたいなっと。そのために、今から老朽化対策や職人育成などの基盤作りを進め、20年後も私が何らかの形で関わりながら、次の世代へバトンタッチできればと思います。

白鳥庭園の詳細は以下のホームページにてご確認ください。

白鳥庭園公式サイト

白鳥庭園

TEL 052-681-8928 / FAX 052-681-9288
営業時間 9:00〜17:00
定休日 毎週月曜日(ただし月曜日が祝休日の場合は翌平日)、年末年始(12月29日~1月3日)

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